1 はじめに
会社に対して、残業代請求を行う場合に気になるのは弁護士費用と思います。弁護士に事件を依頼するようなことは人生でそう何度もありません。そのため、適正な弁護士費用はいくらなのかわからないと思います。そこで、以下では、残業代請求事件の弁護士費用について解説します。
2 弁護士費用には着手金有りと着手金無しの2パターンがある
まず、日本における弁護士費用の設定は、基本的には法律事務所ごとの裁量が認められており、どのような内容の弁護士費用を定めても原則自由です。
そして、残業代請求事件の弁護士費用については大別すると2つパターンがあります。
メリットとデメリット
依頼者目線で考えた場合、勝てるかどうかも分からない依頼の時点で費用を負担する「着手金必要型」よりも,事件終了時の時点で費用を負担する「成功報酬型」の方が負けた場合のリスクも少なく、依頼時に費用負担も必要もない点で大きなメリットがあります。
もっとも、弁護士目線で考えた場合、「成功報酬型」は、負けた場合にはほとんど報酬をもらえずただ働きになってしまうリスクを負っているため、「成功報酬型」は「着手金必要型」に比べ、報酬金を高めに設定しており、結果的には、着手金必要型に依頼したほうが弁護士費用の総額は安くなったというケースもありえます。
したがって、「着手金必要型」と「成功報酬型」のどちらが依頼者にとってメリットがあるかは一概には言えないと思います。
3 残業代請求の弁護士費用の現状
インターネットを中心に残業代請求を専門的に取り扱っていると謳っている法律事務所の費用体系を調査したところ、現時点(2019年3月末日時点)では、残業代請求事件の弁護士費用については「成功報酬型」が主流となっているような印象を受けます。
もっとも、一言で「成功報酬型」と言っても、様々な条件があり、注意が必要です。
残業代請求事件は、基本的には「交渉」⇒「労働審判」⇒「訴訟」という流れで進行します。そして、「訴訟」に移行した場合には、訴訟提起から解決に至るまで平均して約1年程度の時間が必要になります。そのため、「交渉」や「労働審判」までは着手金無料で対応するが、「訴訟」に移行した場合には、長期化することなどを理由に、その時点で着手金を必要とする報酬形態の法律事務所もあります。
また、「訴訟」移行時の着手金は必要ないけれども、訴訟が長期化した場合に追加費用を設定している法律事務所もあります。
そのため、「成功報酬型」の弁護士費用を選ぶ場合に、どの時点まで着手金が不要なのかを良く確認しておくことをおすすめします。
4 「着手金必要型」と「成功報酬型」の実際
残業代請求事件で使用者に請求する残業代の額は業種や働き方によって様々です。もっとも、残業代請求事件で使用者に請求する未払残業代の金額は、平均すると200万円程度になることを多いです。また、高額な場合では500万円程度になることも珍しくありません。
そこで、ホームページ上の情報をもとに、残業代請求を専門的に取り扱っていると謳っている法律事務所の弁護士費用を調べ、獲得額が200万円と500万円の場合の弁護士費用の総額を以下の表にまとめました。
<着手金必要型>
法律事務所A | 法律事務所B | 法律事務所
C |
|
着手金 | 10万円 | 18万円 | 20万円 |
報酬金 | 25% | 15% | 20% |
訴訟時
弁護士費用 《200万》 |
60万円 |
48万円 |
60万円 |
弁護士費用
《500万》 |
135万円 |
93万円 |
120万円 |
<成功報酬型>
法律事務所E | 法律事務所F | 法律事務所G | |
交渉時 | 24% | 25% | 30% |
労働審判 | 29% | 25% | 30% |
訴訟 | 29% | 30% | 30% |
訴訟時
弁護士費用 《200万》 |
58万円 |
60万円 |
60万円 |
訴訟時
弁護士費用 《500万》 |
145万円 |
150万円 |
150万円 |
上記の表によれば、回収した未払残業代の金額が200万円である場合には、<着手金必要型>と<成功報酬型>では大きな差は生じませんが、回収額が500万円に達する場合には数十万円の差が出てくることが分かります。
<着手金必要型>と<成功報酬型>のいずれの事務所に依頼するかは、①依頼時に着手金を用意できるか、②回収できる残業代の額がどの程度の見込みになるか、③敗訴するリスクがあるかの3つをよく検討したうえで判断することをオススメします。
5 最後に
長々と残業代請求事件の弁護士費用を説明しましたので、最後に当事務所の弁護士費用をお伝えしますと、当事務所は完全成功報酬制を採用しており、着手金無料、成功報酬は交渉時20%、労働審判時25%、訴訟時30%で行っています。
なお、当事務所が完全成功報酬制を採用している理由は、依頼時の経済的負担を軽減することが主な理由ですので、着手金を支払っても報酬時の割合を下げたいというご希望があれば、柔軟に対応させていただいております。
当事務所では残業代請求事件について、100件を超える事件を解決した豊富な実績があります。もし、当事務所に残業代請求事件のご依頼をご検討の場合はお気軽にお電話ください。