残業代計算から会社への請求・回収まで、残業代請求の経験豊富な弁護士が対応!

運送業・トラック運転手の残業代請求 解決事例

運送業、トラック運転手の方は、長時間労働を強いられている方が極めて多く、残業代が適法に支払われていないことが非常に多い職業といえます。
証拠関係は、運送業、トラック運転手の場合、タコグラフや運転日報といった労働時間に関する客観的な資料が作成されているので、これらを活用して、労働時間を立証していくことになります。

時に過労死が生じる極めて過酷な労働時間であるため、2年分の未払残業代で1000万近い残業代が発生することも珍しくありません。
以下では、これまで扱った運送業・トラック運転手の残業代請求の一部について、解決事例を紹介します。

労働条件の不利益変更を指摘して残業代を請求

事案内容
1運行40時間で、1月当たり10回~12回の運行をこなし、月間総労働時間が360時間を超える過重労働の長距離トラック運転手の代理人として約1,200万円の未払残業代を請求した事案。
争点と内容
事前にデジタルタコグラフの開示を受けたため、労働時間の立証は十分でしたが、会社は給与項目のうち「長距離手当」が残業代であると主張し、これを裏付ける就業規則を示してきたため、毎月の給与の一部として支払われている「長距離手当」が残業代の支払いといえるのかが争点となりました。
こちらは、相手の会社の過去の就業規則の提出を求め、過去の就業規則には「長距離手当」に残業代の性質がなかったにもかかわらず、数年前の就業規則の変更で残業代として支払う趣旨に変えられていたことを示し、基本給の一部を残業代に変更することは労働条件の不利益変更にあたり、無効であるとの主張を行いました。
解決結果
上記の労働条件の不利益変更の主張が認められ、勝訴的和解を取得することができ、その結果、約1,000万の解決金を取得することができました。

3人で裁判を起こし合計300万円の未払残業代を回収!

事案内容
依頼者は長距離トラックの運転手をしていましたが、残業代が一切支払われていませんでした。そこで、退職するタイミングが同じであった同僚3名が一緒に未払残業代を求め、当事務所に依頼されました。
争点と内容
依頼者の労働時間はタイムカードとデジタルタコグラフで管理されていましたので、弁護士名で会社に対し、資料の開示請求を行いました。しかし、会社側は、未払残業代はないとの主張をするのみで、一切の資料の開示をせず、交渉に応じない姿勢を見せました。
そこで、速やかに裁判を起こし、裁判所を通じて資料の開示を要求しました。
裁判になって初めて会社は弁護士を付けたようで、弁護士の説得もあってかタイムカードとデジタルタコグラフが開示されました。
裁判では、休憩時間や待機時間など労働時間の争いがありましたが、主たる争点は、依頼者らに毎月支払われていた水揚手当が残業代の支払として認められるかという点でした。
会社側は、賃金規程において水揚手当は残業代の支払であると明記されていると主張してきました。
これに対して当方は水揚手当が歩合給であることはハローワークの求人票や依頼者らへの説明から明らかであることや賃金規程は周知されておらず裁判になって初めて存在を知ったこと、仮に賃金規程に定めがあっても労働者に不利益なものであるとして無効であること等を主張しました。
結論としては、判決に至ることなく、3人で300万円での和解となりました。
金額としては十分なものではありませんでしたが、新型コロナウイルスの影響を受け会社の収益が大幅に減少していたことやグループ会社の1つとして財産をほとんど持たない会社であったこと、勝訴判決が出ると全従業員から未払残業代の請求をされ倒産する可能性があることなどを考慮して、和解を成立させました。
解決結果
全く残業代を支払う姿勢を見せなかった会社から、合計300万円の未払残業代を支払わせることができました。

交渉で400万円の未払残業代を回収!

事案内容
依頼者は、トラックドライバーとして長時間労働をしていましたが、残業代が支払われていませんでした。雇用時に頑張って働いていればトラックを無償で譲渡するとの約束があったため、残業代が支払われていないことも我慢していました。しかし、トラックを無償で譲渡するとの約束も反故にされたため、依頼者は未払残業代の請求を決意されました。
争点と内容
争点は、デジタコの記録や業務日報の記録に多く抜けがあったことや不正確な記録が多かったことから、労働時間を証明できるか否かでした。また、会社の売上が激減する中、会社が倒産をほのめかしていたことから、現実的に未払い残業代を回収することができるか否かという問題もありました。
当方から、会社に対して内容証明郵便にて請求書を送付したところ、会社は代理人として弁護士を立ててきましたが、会社側が依頼者の未払残業代を計算し、未払い残業代があることを認めながら、支払う資金がないと主張してきたため、交渉が難航しました。
しかし、会社が認めている未払残業代の金額の範囲内では、法律上先取特権が存在します。つまり、裁判を起こすことなく、会社の財産を差押えすることができるのです。
そこで、当方は、会社の財産を差し押さえることができることを武器に交渉を進めました。
すると、当初は一切の支払提案をしなかった会社が態度を変え、会社が認める範囲内での未払残業代を直ちに支払うとの提案をしてきました。
解決結果
未払い残業代の金額について両者で大きな差があったものの、1年程をかけて裁判した場合、会社が倒産し、回収ができなくなるというリスクもあることから、早期解決を目指し和解を成立させることになりました。

裁判での和解により2人で合計430万円の未払残業代を回収!

事案内容
依頼者2名は、トラック運転手をしており、勤務時間はデジタルタコグラフで管理されていました。
固定残業代として月々2万円が支払われていましたが、長時間の残業時間に見合わないのではと疑問に思われていました。
そこで依頼者2名とも、退職のタイミングで、当事務所に未払い残業代請求を依頼いただきました。
また、依頼者2名には、退職に伴い運転免許取得費用と会社の名義で購入した私用の自動車の購入費用の清算を求められているという事情もありましたので、これらの対応もご依頼いただきました。
争点と内容
争点は、業務手当が歩合給であるか固定残業代の支払であるかという点と残業時間でした。
依頼者2名の給料の大きな部分が業務手当の支払でしたが、これが残業代の支払と認められれば、未払残業代は発生していないという状況でした。しかし、業務手当は積載量や距離によって歩合のように計算されていたことから、歩合給であるとの主張をしました。
会社側は、業務手当が残業代の支払であると記載がある就業規則や雇用条件通知書を提出してきました。また依頼者2名の認識に反して、会社側は期限の定めのない雇用契約ではなく、1年ごとに更新される有期雇用であるとの雇用条件通知書を提出してきました。依頼者2名は就業規則をこれまで見たことはなく、雇用契約書も受け取った記憶がありませんでした。このような状況で就業規則を精査したところ、雇用契約時には就業規則は存在しなかったことや1年以内の有期雇用の者には就業規則が適用されないとの条項があることが判明しました。そして、ハローワークの求人票等を証拠として、業務手当は歩合給であり、就業規則等の定めは適用されないと主張しました。
また、労働時間はデジタルタコグラフによって管理されていましたが、休憩時間や手待ち時間の記録が正確ではなく、ほとんど休憩時間は存在しなかったと主張しました。

解決結果
主張・反論を繰り返したところ、裁判官から業務手当は歩合給であり、残業代の支払とは認められないとの見解が示され、和解の検討をすることになりました。
そして、運転免許取得費用や自動車の清算金と相殺する形で、それを上回る未払い残業代の支払を受けることになりました。

裁判和解により遅延損害金を含めて合計約450万円の未払残業代を回収!

事案内容
依頼者2名のトラック運転手は完全歩合給で勤務していました。
しかし、会社は給料を完全歩合給で計算したうえで、それを給与明細上の名目を基本給と残業代に振り分けて支払っておりました。
依頼者2名は、会社が不当に残業代を支払っていないことに不満を感じており、退職のタイミングで、当事務所に未払い残業代請求をご依頼いただきました。
争点と内容
こちらで残業代を計算したところ、2名で元金約350万円の残業代請求となりましたが、相手方会社は支払いを拒絶したので、速やかに訴訟に移行しました。
裁判での争点は、会社の給与体系が完全歩合給にあたるか、基本給と残業代にあたるかという点でした。
この点、賃金の実質が完全歩合給にあたることについては、給与の全体を完全歩合給で一度計算し、それを割り振っていることを示す有力な証拠を確保していましたので、裁判当初から有利に進めていくことが出来ました。
しかし、相手方会社は様々な理由を付けて、支払いに応じず、裁判は長期化しました。
解決結果
相手方会社は最後まで不毛な抵抗をしていましたが、最終的に観念し、支払いに応じました。
その結果、当初請求の元金約350万円に、約100万円の遅延損害金を加えて、合計で約450万円の和解となりました。
こちらも一歩も譲らずに裁判を続けた結果、元金を大幅に超える和解金による解決が実現できました。

交渉で225万円の未払残業代を回収!

事案内容
依頼者(50代男性)は、トラックドライバーとして完全歩合制の報酬体系で働いていましたが、会社とは口約束の労働条件で雇用契約書は作成されていませんでした。また、歩合割合を一方的に下げられたり、売上高を開示されない等の対応をされていました。そのため、適正な給料が支払われているのか常々、会社に不信感を持っておられましたので、退職を機に、未払残業代の請求を決意されました。
争点と内容
雇用契約書がなく労働条件が口約束でしたので、完全歩合制であることや歩合割合が売上高から諸経費を控除した50%であること等を否定されると交渉が難航することが予想されました。 
しかし、当方から未払残業代の請求や資料の開示を求める通知書を会社に送付したところ、会社は弁護士を付け、完全歩合制を認める対応を取り、売上資料を開示してきました。
もっとも、依頼者が認識していた売上高よりも低額であり、また歩合割合についても双方の認識に齟齬がありました。また、会社側は給料の前借りをしていたこと、自動車免許取得費用の立替分との相殺を主張してきました。

解決結果
当方から、様々なパターンでの未払残業額を提示し、互いに譲り合うことのできる金額で和解を成立させることができました。また後日の紛争を避けるために、給料の前借り分と自動車免許取得費用の点も一挙に解決する合意書を作成しました。

投稿日:2018年1月18日 更新日:

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