残業代請求を会社側にするには、まずあなたの未払い残業代がいくらなのかを計算する必要があります。
そして、残業代の計算方法は、給与の支払方法によって異なります。
以下では、もっとも一般的な給与の支払方法である月給制の場合の残業代の計算方法を説明します。
月給制の場合は、以下の計算式で残業代を計算します。
【計算式】
時間給 × 残業時間数 × 割増率 = 残業代
この「時間給」は、『月給額 ÷ 1ヵ月当たりの平均所定労働時間』で計算します。
そして、1ヵ月当たりの平均所定労働時間とは、1年間の所定の総労働時間数を12で割って計算します。このような1か月当たりの平均所定労働時間数を使用する理由は、月によって暦日数が違うのに、そのまま形式的に月ごとの所定時間数で月給額を割ると、月によって時間給が大きく変動することになるのが不合理だからです。
以上の点を踏まえて、以下の労働条件で働く労働者の残業代を実際に計算してみます。
所定の勤務時間:8:00~17:00(昼休憩1時間)
休日:完全週休二日
1ヶ月の残業時間数:毎日2時間程度の残業(つまり、毎日19時まで勤務)。月の残業時間数約40時間
まず、1か月当たりの平均所定労働時間を計算する必要があります。
そのために、年間の休日数を計算し、1年間の総労働時間数を算出しなければなりません。
通常は祝日などもありますが、計算を簡略化して説明すると、1年間は約52週で構成されていますので、上記の労働条件に基づいて計算すれば、年間104日の休日があります(52週×2(土、日))。
そこで、365日(うるう年の場合には366日)-104日=261日が1年間の所定労働日数です。
また、所定勤務時間が8時から17時、うち1時間が休憩時間なので、1日の所定労働時間数は8時間です。
そうすると、1年間の所定の総労働時間数は2088時間(年間の出勤日数である261日×8時間)です。
そして、この場合の1か月当たりの平均所定労働時間数は174時間となります。
次に、月給を1か月当たりの平均所定労働時間で割ると時間給が計算できます。
今回の例の場合は、時間給は1839円(基本給30万÷174時間)(小数点以下切捨)となります。
そして、1か月当たりの残業時間数は約40時間ですので、上記ケースの場合の残業代は9万1950円となります。
[最終的な計算式]