学習塾の講師は、長時間労働が多い典型的な職種の一つです。
その理由は、授業のための拘束時間が非常に長く、採点や問題作成などの授業以外の業務を行っていると、どうしても1日8時間以上の労働時間となってしまうからです。
また、春季・夏季・冬期などの季節講習が行われ、その期間は生徒らも長期休みであるため、午前中から午後の遅くまで対応が強いられることになるからです。
業務報告書を証拠として、約180万円の残業代を請求
- 事案内容
- 依頼者は、中学生向けの学習塾で講師として、約1年間勤務していました。
学習塾での労働時間は13時ころから23時ころまでで、週に6日の頻度で勤務を行っていましたが、毎月固定的に支払われる基本給以外に残業代などの手当は一切支給されていませんでした。
そのため、退職後、しばらくして、残業代請求を思い立ち、当事務所所属弁護士に依頼されました。 - 争点と内容
- 当初、交渉での解決を目指しましたが、学習塾を運営する会社からは約50万円程度の低額な解決金しか提案されませんでしたので、裁判を提起することになりました。
会社は、裁判で、依頼者は会社の命令とは異なる自己研鑽としての自主活動のために会社に残っており、その時間は労働時間ではないと主張してきました。
そこで、会社が労働時間ではないとする時間もすべて、依頼者は何を行っていたかの業務報告書を作成し、会社に提出していることを証拠提出し、少なくとも、会社は黙示的に業務命令を行っていたことを主張しました。 - 解決結果
- 以上のような主張を行っていたところ、裁判中に会社から約180万円の解決金が提案され、依頼者も早期の和解を希望したため、同額で無事に和解に至りました。