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弁護士の残業代請求コラム

残業代の請求をする際に、遅延利息、遅延損害金も請求できるのか?

投稿日:2018年7月3日 更新日:

はじめに

残業代は、通常の給料と同じ扱いがされており、残業代の未払いは、給料の未払いと同じです。
本来通常支払われるべき時期に残業代が払われていれば、もっと生活は楽になっていたはずです。

そこで、残業代の支払いが遅れた場合には、「遅延利息」「遅延損害金」が支払われることになっています。「遅延利息」と「遅延損害金」は同じ意味ですが、要は、給料の支払いが遅れたことへの事業者へのペナルティです。

借金をしていた場合に、支払が遅れたら遅延利息を支払うのと同じと言えば、一般的に想像しやすいと思います。

残業代の遅延損害金はいくらか?

借金の場合は、借金する際に契約書を作成していますので、その契約によって遅延損害金の利率が定まっています。

しかし、会社に入社する場合に、雇用契約書において、残業代の支払を滞った場合の定めがあることは非常にまれです。なぜなら、雇用契約書は会社側が作成するものであり、会社にとって不利な記載をすることは通常考えられないからです。

そのため、遅延損害金の利率は法律で定められており、雇用契約、就業規則で定められていなくとも、法律の遅延損害金の利率が適用されることになります。

そして、法律は残業代の遅延損害金について、在職中の残業代と退職後の残業代とで遅延損害金の利率を別に定めています。

在職中の残業代の遅延損害金

在職中の残業代の遅延損害金については、商法で定めがされています。

商法第514条
「商行為によって生じた債務に関しては、法定利率は、年6分とする。」

したがって、在職中の残業代の支払いが遅れた場合は、支払われるまで年6%の遅延損害金を請求することができます。

退職後の残業代の遅延損害金

退職後の残業代の遅延損害金について、賃金の支払いの確保等に関する法律(通称「賃確法」)で定めがされています。

賃確法第6条
「事業主は、その事業を退職した労働者に係る賃金(退職手当を除く。以下この条において同じ。)の全部又は一部をその退職の日(退職の日後に支払期日が到来する賃金にあつては、当該支払期日。以下この条において同じ。)までに支払わなかつた場合には、当該労働者に対し、当該退職の日の翌日からその支払をする日までの期間について、その日数に応じ、当該退職の日の経過後まだ支払われていない賃金の額に年十四・六パーセントを超えない範囲内で政令で定める率を乗じて得た金額を遅延利息として支払わなければならない。」

したがって、退職後に残業代が支払われていない場合は、支払われるまで年14.6%の遅延損害金を請求することができます。

遅延損害金の起算点はいつからか?

①在職中の残業代未払い
在職中の残業代は、給料支払日に支払われるべきことが通常です。
したがって、給料支払日の翌日から、支払が遅延したとして、遅延損害金が発生します。

②退職後の残業代の未払い
毎月の残業代が支払われず、退職してしまった場合は、退職までに発生した毎月の残業代の遅延損害金のほかに、退職日の翌日からこれまで未払いであった残業代全額に対して年14.6%の遅延損害金が発生します。

具体的事例における遅延損害金の金額

① Oさんの事例

Oさんは(40代、男性)個人経営のパン屋で働いており、基本給のみで構成されている給料29万円を得て生活していました。
そして、週休1日で、毎日1時間の残業をしていました。

Oさんは、残業をしているにもかかわらず一切残業代が支払われないことを疑問に思っていましたが、毎日の仕事に追われ深く考えることはできませんでした。

しかし、パン屋を退職するにあたり、残業代を請求できるのではないかと考え、大阪バディ事務所の弁護士に相談されました。

そして、弁護士がOさんの2年間の残業代を正確に計算したところ、なんと223万1578円の未払い残業代が発生していることが判明しました。

② Oさんの残業代の遅延損害金
ところで、Oさんの残業代には、遅延損害金が発生することは先に述べたとおりです。

Oさんの場合、毎月25日が給料支払日でしたので、毎月の約10万円の残業代は毎月26日から支払遅延している状況にありました。
その結果、Oさんが退職した時点での2年間の残業代の遅延損害金は、合計11万0701円も発生していました。具体的な、退職日までの毎月の残業代の遅延損金額は、以下の黄色の箇所です。

また、退職後は、年14.6%の遅延損害金が発生します。
具体的には、退職日までの残業代の元金合計が223万1579円ですので、これに対する年14.6%の遅延損害金が発生します。

つまり、残業代が支払われるまで、毎日892円、1年で32万5810円の遅延損害金が発生します。なお、退職後は在職中の遅延損害金率6%は適用されませんので、退職後は毎日892円、年32万5810円の遅延損害金のみになります。

最後に

左側のコンテンツ50%

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皆様が考えていらっしゃるよりも残業代の金額は大きくなることが多いです。

そして、遅延損害金は、退職後年14.6%という高率になっていますので、会社からの支払いが遅れれば遅れるほど、遅延損害金の金額は大きくなります。遅延損害金まで支払を要求するためには、弁護士に依頼し裁判までせざるを得ないことが通常ですが、大阪バディ法律事務所には、残業代の裁判の経験が豊富にあります。
残業代の請求をお考えの方は、一度、大阪バディ法律事務所の弁護士までご相談下さい。

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